会社情報【中間レポート】 広島発「介護×働き方改革×DX」実証研究プロジェクト
株式会社ZIPCAREは、医療法人社団明和会及び一般社団法人働き方改革実現ネットワーク広島と、ICT見守り機器を介護現場で活用することが介護職員の「働きがい」につながることを実証する共同研究を2022年6月1日から開始しました。
人口減少による「人材不足」に悩まされている介護業界は、DX推進が最も遅れている業界とも言われており、ICT導入によって見込まれる「業務効率」「人手不足」といった課題の解決が、働き方改革の本質である『働きがい』につながることを目標として、まもる~のStationを使用して、職員の働き方、利用者のQOL、職員の働きがいをICT導入前後のスコアやアンケートにより比較検証していきます。
中間評価
1.利用者のQOL
事例紹介
80代、認知症あり。認知症高齢者日常生活自立度Ⅲa、障害高齢者日常生活自立度A2。
徐々に身体能力や認知能力が低下しており介護保険サービスを利用した活動性の向上が必要な状況。
以前からご家族に介護保険申請を勧めていたが未申請。
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① 課題
- 離床の時間が少なく常にベッドにいる
(今後さらにADLが低下する可能性がある)
- 夜中に電気がついたままで眠れていないことがある
(生活環境を最適化できていない可能性がある)
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② 取り組み
- ご家族へデータを基に現状について説明。介護保険申請、サービス利用開始(週2回のデイケア)に繋がった。
データを活用することで説明に客観性が加わり説得力が増した。
- 適切な照度に変更。
朝)職員がカーテンを開けて換気 夜)職員が電気を消す
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③ 結果
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図1の7月赤枠内(午前、午後)は全体的に青色(睡眠)と緑色(ベッド上で覚醒)でベッド上の生活で、一日中ベッド上で過ごしていた。
しかし、10月には、赤枠内(午前、午後)は灰色(離床)に変化した。日中の活動性が高まったことがわかる。
また、日常生活動作場面では、下肢筋力が向上し、立位保持力や歩行安定性も向上した。
2.職場のコミュニケーション
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【変化した点】
- 情報共有や建設的なアドバイス、オープンな議論が進み「個の介護」から「チームの介護」に変わりつつある。
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【要因】
- グループワークの実施で情報共有量が増加した。
デジタルデータが職員間の共通言語となった。
3.職員の働きがい
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【変化した点】
- 「仕事の裁量度」「フィードバック・達成感」でスコアが大幅に改善した。
「意味のある仕事」はスコアが変化していない。「スキル確保」は低下傾向。
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【要因】
- 利用者のQOL改善事例を体験し、グループワークにより利用者のQOL改善を喜び合う機会をもてた。
管理者からのプラスのフィードバックがあった。
スキル確保の低下の要因は、データ分析、考察という新しい思考の過程を踏むことで、職員が新たなスキルが必要という意識が芽生えたと推察している。
成果の兆し
個のケアでなくチームケアができる組織へ成長し始めた。
特に図2にある「②コミュニケーション改善」を大きく認めている。
これは図3にある働きがいにつながると考えられている従業員の心理的5要素が良い方向へ変化していると考えられる。
また、事例にあるようにデータを活用することが利用者の日常生活に変化をもたらしたことは、図2にある「①QOL改善」を職員が実感し、これも働きがいにつながる従業員の心理的5要素が好転した要因になったと推測している。
今後の課題
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① 人(介護職員)がICTに対して適応できる人材へ
- ICTを活用できる人材へのアップデートが必要。
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② ICT活用を前提としたオペレーションの変更を
- 中間検証までは、ICTから得られるデータを活用した組織づくりを実施した。
業務改善を進める地盤ができたため、今後はICTを導入した業務フローの見直しを実施する必要がある。
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③ 介護ロボット(まもる~の)も現場がより使いやすいモデルへ
- 人が操作しやすいICTへ機器をアップデートする必要がある。
検証を通して今後のICTに期待される能力についてフィードバックレポートを作成する。
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